株式会社SOJI

01Biography

変わらぬ素地をつくること

素地。そのまま、ありのまま、これから手を加えて何かに変わるものを指す。素地は時間に呼応するように経年変化を起こし、本来の色や形を変えていく。鉄の素地は放置すると酸化を起こし、銀色だった表面が赤茶色に変色しやがて形が崩れていく。こうして銀色に輝いていた鉄は錆びていくわけだが、錆て脆くなっても鉄は鉄であり、その事実は鉄の素地が生まれた時から変わらない。時代や環境に応じて色や形が変わったとしても、その素材の定義や本質は変わらない。私たちは揺るがないアイデンティティを素地という環境の変化に呼応しながら変化する柔軟で自然体なものとして捉えている。イメージを固定化させるものづくりではなく、これから先も長く時代に残り、文化として浸透していく素地を育てていくことが、私たちが活動する意味である。

02Philosophy

歴史の上に立つもの

すべての事象にはそれが起こったきっかけがあり自然も文化も歴史も無から生まれることはない。私たちは変えられない過去という事実と、一連の事象を文脈として引用し、歴史の一部となるものごとを生み出していく。流行という今の傾向のみで生み出されたものに、事実で固められた地盤は作れるのだろうか。突発的に降りてきたアイデアをデザインとして置き換える行為は歴史の一部になれるのだろうか。過去という事実で固めた地盤の上に、環境の変化に適応する素地があったなら、目まぐるしく変わる時代の中でも揺るぎないアイデンティティを守っていけるのではないだろうか。私たちは長く文化として残るものをつくるために事実の上に立つ素地を模索する。

物事が生まれる過程には時間という概念が必ず存在する。それは何かが形成される時間、朽ちていく時間。途方もない長い年月も瞬きをする一瞬も、同じ時間という軸で測られる。作る前からその後も何十年、何世紀続いていく未来を想像しながら、私たちはあなたと共に文化を耕していく。私たちの活動は資本主義社会のための活動ではなく、人間が人間らしく生きていくための文化的活動である。文化的活動には長く地道な道のりを進んだり見当もつかない仮説を実行する瞬間が多く存在する。資本主義社会の中での文化的活動やそれを継続していくことは決して簡単なことではない。時に不安定な状態でもあなたと共に未来像を描く伴走者でありたい。

03Identity

日本の美意識と素地

素地は経年変化を起こし朽ちていくわけでなく時間、時代、環境に呼応し変化していく。そんな素地的思考は日本の美意識に多く見られる。日本の美意識はありのままので、飾らない姿に美しさを解く精神が強い。当たり前の物事を当たり前に美しいと思えるように、私たちはごく自然であたかも昔からそこにあったような、そしてこれからもそこにあるようなものを作っていく。本質的な部分だけを汲み取り、時代に呼応し自由に可変する余白を作り上げる侘び寂びの考え方は私たちのビジュアライズにおける根底の考え方であり、民藝のように侘び寂びの思想を形として大衆に広げていくことも私たちの大切なエッセンスとなっている。侘び寂びの話をあげるとよく類語としてあげられるミニマリズムは20世紀に生まれた装飾的な様式を排除し最小限の機能で成立させる思想のこと。侘び寂びも質素(シンプル)と言われることが多いが、侘び寂びが重要視している思想は、それが自然な様であり自然のままに流れて変化変容していくことを指す。ミニマリズムはシンプルを装飾とし、いつまでも綺麗に保つ考え方である。長く残るブランド、アイデンティティを作りあげるため、私たちのアウトプットは装飾的なシンプルであってはならない。過去を捉え、在るべき文脈の上に立ち、歴史の一部となりながら長く継承されていくものを前提にクリエイティブを考えれば自ずと装飾性は排除される。

04Policy

文化醸成のためのカタチ

ものはいつか作り手の元を離れ、社会で使われる道具となる。その瞬間でも誰もが理解し利用できる道具であることが文化を醸成する上で最も重要であると考えている。クリエイティブやブランドの継続的な成長も同様、持続的に機能する形やガイドラインの策定し生み出されたものをどう使っていくか、使い方をどう継承していくかを模索する必要がある。私たちが形を検討する際に重要視する視点は3つである。

1.フラットに観察できる形であること。道具にはいずれ大衆がそれを目にしたり手に取ったり実際に扱う瞬間が訪れる。本来利用して欲しい人の外には。文化醸成に必要な道具は誰もが対等に共通認識を持てるものでなくてはならない。

2.使い方が明快であること。私たちは複雑で装飾的な道具を生み出さない。説明がないと使えないもの、捉え方に個人差が生まれるもの、作り手がいないからと言って使い方が変わってしまうものは文化的な道具とは言えない。ビジュアルアイデンティティやガイドラインにおいても使い方が明快であることが重要である。正しく利用できることが正しく文化を継承していくきっかけに繋がる。

3.新たな文化を生む種になること。道具は属人化してはならない。フラットに扱え使い方が明快である道具は、応用が効きやすい。ガイドラインとしてのインナーでの応用も勿論だが、誰かが新しく道具を検討する際の着想の種になりやすくなる。文化とは内に閉ざした考え方では醸成されない。作り手、使い手の先で新たなものづくりが生まれていくことも考えることで文化醸成は加速する。

人類最古の道具である石器は推定15,000年前のものとされ、石器時代から食材を切ることは変わらず、現在ではそれが包丁という道具になっている。道具とは最初に作った実物そのものがなくなったとしても、使い方だけが自走し誰でも作り使えるものでなくてはらない。私たちは決して作家や職人ではない。私たちにしか作れないものや使えないものではなく、私たちの手を離れても自走し継承されていくものを作り続けていきたいと考えている。道具とはそれ自体が文化である。

05Vision

今あるものを残すため

これだけものが溢れる現代で、限りある資源を使って何かを生み出す価値はどこにあるのだろうか。私たちは新たなものを生み出すことより今ある歴史文化の価値を残す活動を重要視している。日常で大切にするものを丁寧に汲み取りものづくりを行いたい。何もしないことは停滞ではなく低下である。何もしなければ文化は継承されず消えていく。私たちは過去と未来を繋ぐ橋渡しを行う。

私たちは私たちの信じるクリエイティブを通してSOJIの本質である過去を重んじ現在の形に再解釈を行い、後世へ紡がれる歴史、文化、自然、営みを紡いでいく。それはデザインの耐久性でも、ブランドの経済的な成長性でも、マテリアルとしての持続性でも同じことだ。徹底的なヒアリングと歴史文化のリサーチ、それらを解釈し仮説を立てながら、ブランドの本質を探り半永久的に続くクリエイティブを作り上げ、運用し文化になり歴史に残し、また新たな文化を生んでいく。私たちの活動は終わりなき時間軸の中で循環する活動である。

06Activity

素地を探る

私たちの活動は単一的なクリエイティブ活動ではなく、文化醸成を主とした活動を行っているため、あらゆるジャンルを横断しながらアウトプットを行う。主な領域はブランド開発におけるクリエイティブディレクション、商品企画、コンセプトメイク、CI・VI設計、映像や写真、空間やグラフィックなどのデザインなど。時には学者、ストラテジストなど専門知識を持ったパートナーと共に活動を行い、より深いエビデンスを元にアウトプットを検討する。

長く残ることを前提としているからこそ、私たちは制作に入る前に入念なヒアリングとリサーチを行い多角的に仮説を立てていく。主なヒアリング対象として歴史風土文化の3軸を設定。歴史では生い立ち(過去)を、風土では周辺環境や現在地点(現在)を、文化では耕していきたいものや耕し方(未来)をヒアリングする。リサーチ対象は考古学、文化人類学、生態学、哲学、心理学、経済学など私たち生活を取り巻くあらゆる学術的な視点を応用しながら多角的に仮説を立てていく。その仮説から最適なアウトプットを導き出すことで、その環境に長く根付くクリエイティブが生まれると考えている。

クリエイティブを考えるにあたっての素材集めの方法は常に変化する。時に読書をすれば時に山に登ることも。その地に長く滞在し現地の方々と同じ生活を送る時もある。日々の活動の中に一つとして同じ問いはない。その問いに純粋に向き合えば自ずと手段を固定化せず、常に検証を続ける活動体が生まれるはずだ。